Dr.320 潜る覚悟(4月16日)
前日に続いて田植えの準備の農作業を行った。今回は前日と一変して好天気で、田んぼにいても気持ちの良い気候だった。こんな好天の日に生徒の心配や職員の苦情、10時頃に食べる菓子パンの心配などの気がかりもなく、心置きなく田んぼで仕事が出来る幸せを噛みしめながら、総菜パンに缶チューハイを飲みながら上機嫌で作業をしていた。しかし世の中そんなにうまくばかりは回らない。夕方そろそろ終い支度かと思っている時、池の水が止まらないことが分かった。それまではチョロチョロと畔練り作業に丁度良いくらいの水があたっていたので、「これぐらいの水量で蓋の閉じ加減が調整できたとはラッキー」と思ってやっていたが、よく見てみると池の水量を調整する水中にある蓋に小石か藻がからみついて完全に閉まらなくなっていることが分かった。このまま水が出続けると、いかにチョロチョロでも2~3日で池は空になってしまう。この池の水を使うのはドクター田だけとはいっても、これから田植えまで水が要るのは必定なので、自分が困るのは目に見えている。そこでドクターは最悪の場合は水深1~2mのところにある蓋まで潜って詰まりモノを取り除くことを覚悟して、念入りなシュミレーションを行った。手順はこうだ。①長い棒で蓋の周りを掃除する、②濡れても良い靴・服などに着替え、腰辺りまで水につかって蓋の周りを掃除する、③いよいよ潜る覚悟を決めるが、もう一度だけ祈りを捧げる、④潜る、⑤着替える、⑥水が止まればそれを祝して一杯やる。結果は想定の通り進み、③の祈りが通じたのか、④は実施しないで済んだ。⑤と⑥は予定通りに実施した。今考えると、良い天気ではあったとはいえ、②のように腰まで水に入っただけでも山際にある水は相当冷たく、④は余程な覚悟と危険を伴うから普通では考えられないことだが、その時は火事場のクソ力というのか本当に潜る勢いだった。「好事魔多し」これからも油断しないように気を付けたい。とはいっても現実にはいろんな魔に遭遇するだろうという予感はする。
☆潜る覚悟をする前は、村の水利委員として用水路の点検などもし、その様子を写真に撮る余裕もあって絶好調だったが、夕方自体が急悪化し悲惨な事態を迎えそうだったが、いつものように祈り(神頼み)が功を奏し潜らなくてよくなり一杯で一日を終えることが出来た。こんな調子だから人生を甘く見るんですね。

