Dr.51 落ち込み
ドクターはいつも元気いっぱい、人生の荒波も乗り越え、毎日をお気楽上機嫌に暮らせる人生の達人と思っている人がいれば、それは嬉しくはあるが間違っている。上機嫌の日も多いが時には落ち込む日がある。何をやってもうまく行かない全てが悪い方へ転ぶ日がそれだ。冒険指導がうまく行かない(外からはうまくいっているようでも自分の思いとは違う)、体重が減らない、子供が口をきいてくれない、今日の星占いで誕生月のふたご座が「BAD ごめんなさい」の星座になる、何でも気軽に引き受けていた役職が雪だるま式に増えて会合が重なり出席できない回数が多くなってきた、何の役職を引く受けたのかさへ忘れてしまった等だ。そんな時に周りの人が、「今日の指導は楽だった、楽しかった、うまく行った、この参加団体はすばらしい」「今日はついている」「毎日が楽しい」などと話してると、余計に落ち込む。周りを気にする小人物だ。いつも言っていること「他人と比較してはいけない」と違う。これまで培ってきた人生を機嫌よく生きる生きるコツが通用しない。こんな時は落ち込む。心底元気がなくなる。でもしばらく落ち込むと、「しゃあないものはしゃあない。やってしまったことはどうしようもない。どうしようもないことを気にしていても仕方ない。次に向かって(反省を生かして)自分のできることを精一杯やるしかない。それしかできない。それでいいか」と思い直して、少しは元気が出てくる。これをお気楽な人というのだろうか。ご迷惑をおかけした皆様すみませんけど、私は少し元気が出てきました。
☆スタンドアップを指導した中学生。はじめは男女別、距離も遠かったが、試行錯誤を重ね、だんだん男女一緒、距離も近くなって完成した。一見いいストーリー、いい指導のように思えるが、ドクターとしては全員で課題を達成する(手を床に着けずに立ち上がる)より大切なこと(みんなでやることを楽しむ、ひいては生きるのを楽しむ)を指導し忘れたという反省がある。
Dr.50 明るい悩み相談
初めて平均年齢70歳の高齢者グループを指導した。高齢者大学大学院1年生の11名の方々だ。皆さん長年のお知り合いで和気あいあい、人生経験も豊かで意欲的、場を盛り上げる術も心得ておられる。最初の予定とは違った活動にはなったが、ゆっくりと参加者の皆さんのお喋りも大事にしながら楽しい活動をすることができた。指導したドクター自身が一番学ぶところが多かったかもしれない。午前中は室内で活動したが、その中で「明るい悩み相談室」というのをやった。これは二人ペアで相方のお悩みにもう一方が明るくユーモアに富んだ回答をするというものだ。例えば一方の相談者役が「最近禿げてきて困っています」と言えば、回答者が「シャンプーが少なくって良いんじゃないですか」と答えるような感じだ。後で心に残った回答をシェアしましょうと言ったら、ほとんどの方が「この年齢になったら悩むことはほとんどないですわ」と答えられた。お集まりの方々には不向きな活動だったかもしれないが、ドクターは「最近中学生の娘があんまり話をしてくれません」と相談したら、相手の人生経験豊かな女性が「それは男性を意識しだした娘さんが、お父さんを素敵な男性と見ているということですよ。もう少しすればまた仲良く話してくれます」と答えてくださった。ドクターが素敵かどうかはともかく、元気を頂いた。それと年齢を重ねた人生の達人には悩みがなくなるということが分かったのは、今後の励みになった。指導させていただいて得をした。
☆悩みを超越してお元気に活動される高齢者大学大学院の皆さん。
☆午後からは屋外で活動しました。ご覧くださいこの笑顔。人生の先にはこの笑顔が待ってると思うと長生きにも希望が持てる。
Dr.49 色物
メインのものの間に入る少し軽めの添え物を色物という。冒険指導でも本格的な課題解決型活動(専門家の間ではイニシアティブと呼んでいるが、これについても言いたいことはありますが後日にします)ばかりでは息が詰まる。なんか軽めのちょっと笑いを誘うようなものがあった方が良いというのか、ドクターの場合はむしろこちらの方ばかりだ。ともかく、この色物にドクターはよくチキンの人形を連れていく。そしてこのチキンを「冒険マスコットのチキンです。名前をジョージと言います」と紹介する。ここで笑いが起きるのは少し年配者だ。子どもたちは神戸で有名なライブハウス『チキンジョージ』を知らないが、それでも「ジョージ ジョージ」と言って大概はお気に入りになってくれる。このチキンのジョージを使ったゲームというのか遊びというのかをやると良い色物になる。振り返りの時にも「感謝鳥」ということでジョージを持って、一日の活動で嬉しかった友達の言葉・行動をしゃべるというのもやっているが、この時ジョージがいるといないとでは大違いだ。人生でもこのような微妙な働きをする色物を大事にしたい。あってもなくてもいいもの、理屈じゃないけど愛着があるもの、そんな自分の色物を大事にして、人生を豊かに生きましょう。
☆色物ジョージがいるとおっさんとも抵抗なく写真に納まってくれる。
☆ジョージのいろんなポーズをとるのに熱中する生徒。本番の活動より熱心かもしれない。何でも面白く熱中できればいいんじゃないでしょうか。
Dr.48 理想のファシリテーション
グループを指導する時使うアクティビティ(活動・ネタ)は無数にあるが、ファシリテーターによってよく使うネタとあまり使わないネタがある。それはネタとの相性にもよるが、通常の1日から2日のプログラムではそれほど多くのネタが必要ないのと、やはりベストな指導を提供したいのでついついいつもの鉄板ネタをやることが多くなる。しかし土曜日に10回シリーズで指導している中学校では、通常滅多にやらないネタも総動員しなければネタ切れになる。今回もグランドで滅多にやらないネタを指導していたが、滅多にやらないのでなかなかうまく指導できなかった。ドクターの苦戦ぶりを察知したのか、生徒たちは自分たちがやりたいネタ(ドロケー鬼ごっこ)をやりたいと言ってきた。流れに任すのを人生でも指導でも信条としているドクターが「そう、(ドクター案もあるけどみんながやりたいことを)やってみる」と応じると、生徒たちは自分たちでルールを決めて、オニ(警察)も民主的に決めて、活き活きと遊び始めた。見ていたドクターも守備要員警察として参加させてもらったが、全力疾走は5mしか走れずしかも相当遅いので役には立たなかった。後からこの日の活動を振り返って「もしかしたら今回の活動はファシリテーションの理想やったかも」と気付いた。日ごろから「ファシリテーターの役割ははじめは目立っても、活動が盛り上がって参加者のものとなってきたら、その存在感が消えるというのが理想」と考えているからだ。今回生徒たちが勝手に自分たちで鬼ごっこをしただけとも言えるが、これを理想の形と理屈づけて次回からも目指したい。その方が指導者にも参加にもストレスがなく楽しい。主催者(学校)からは講師料ドロボーと言われるかもしれないが。
☆最初は計画的なネタ(グループ対抗や男女仲良くなる活動)をやってました。
☆そのうち自分たちで遊ぶ活動に。ファシリテーター(ドクター)は消えた。
☆カメラも生徒に預けたらパノラマで撮るは、超アップを撮るは。ファシリテーター(ドクター)の予想を超えた撮り方だ。ファシリテーター(ドクター)の判断ではこんなシミだらけ顔のアップは撮ろうとも思わないが、でも意外といいかも。
☆プロとして最後は仕事(振り返り)してますよというところを見てください。せこいか。
Dr.47 冒険とリスク
先日の指導後のファシリテーターミーティングで雨の中をコースへ出た場合、カッパなどを着ていても濡れて風邪を引いてしまう場合などの心配があるがどうするのかという話題が出た。結論としてはケースバイケース、雨の状況、参加者の装備状況、グループの状況、主催者(学校では引率先生)の意向、施設(嬉野台生涯教育センター)の方針などを総合的に判断して決めるということになったが、指導するファシリテーターの性格も大きな要素だ。参加者の安全を最優先して室内で活動すべきだという慎重派、雷や警報がなければどんどん外へ行けばよいという積極派、いろんな要素を総合的に考えて決めるが、もし雨中活動した場合は戻ってきた時、班員にタオルで汗を拭かせてから解散するという良識派、ドクターなどの成行き派等だ。この前の雨でドクター班は外へ出たが、それは外へ出る班を見た班員が浮足立ち室内の活動が難しくなったのと、雨で濡れたりカッパの上から肩を踏まれてもいいからそれでも外(冒険コース)へ行きたいという班員の声があったので外へ行った。結果雨中のウォール(壁超え)という激しい活動をやって、シャツや靴下が濡れたりカッパが破けたり手が滑ったりする危険性もあったが、無事やりとげた達成感は高かった。二日間を通した振り返りでも、多くの人がこの雨中ウォールからの学びを語っていた。ここでもう一度確認しておきたいのは、冒険にはリスクが付き物で、リスクが嫌なら冒険活動をしないのが一番だが、それでは成長がない。これは人生にも言えることで、リスクが嫌なら部屋にこもって何もしないのが良いが、それでは心が死ぬ。もちろん無謀なリスクは要らないが、冒険や人生にはリスクは付き物で、リスクは成長には必要だ。
☆晴天(好条件)の活動は気持ちが良いがリスクはやはりある。ハイリスク ハイリターン。リスクの高い活動は得るものも大きい。リスク(命にかかわるものを除く)は忌避や毛嫌いしなくてよい。
☆担任の先生もチャレンジしたクライミングウォール。これにもリスクはあるが、何事にも得るものもあれば失うものもある。計算通りいかないのが人生。まずは楽しんでやってみよう。
☆先入観や心配性を脱し、何事にもどんどん挑戦しようという風に持っていこうとする振り返り。誘導振り返りには気を付けたい。