Dr.302 知らぬが仏(3月25日)
一陽来復、陽光も春めいてきて多くの方が4月から新年度、新天地での活動を始めるウキウキした時期になってきた。ドクター定年後生活者の生活は大きくは変わりようがない。春になって変わるものに、うちの池の山から引いている水が出なくなるという、皆様方にはどうでもよい現象がある。どなたか知っておられれば教えていただきたいのだが、うちの水は数百メートルはあるホースを川に沿って上流まで伸ばし、その落差で池に注水しているが、毎年冬の間は順調に水が出てくるが、春になると出なくなることが月に数回ぐらいあり、その度にエンジンポンプで水を池からホースに送り込み、その水が文字通り誘い水になってまたしばらく流れるという状態を繰り返す。何故冬場はホースが詰まらず水が送られ続けるのか。謎解きはひとまず置いて、今回はしばらく行ってなかった上流のポンプの取水口を点検に行った。川に沿った山道を登ってポンプの先にたどり着いたが、そこにはあるはずのコンクリート製のブロック枡が無くなっていた。たまたまそこから20mほど川下の岩に引っかかっていた枡を見つけ、エッチらほっちらと川の中を引きずって元の位置にもどしたが、もう長い間ブロック枡は流されたままホース先が運よく水中に入って水を送ってきていたようだ。そんなこととは知らずこれまでは今年は長い間水が出続けて調子よいなと喜んでいたのだが、しばらくぶりに除いた川は去年の増水で川底がえぐれ川べりの木々が流され、以前とはずいぶん違った様相になっていた。うちの古い方のホースも川床に横たわり、このまま放っておいたら絡まったホースが川を痛めるのではないかと心配になってきた。かと言って何百メートルもある結構重いホースは簡単には取り除けない。でもいつかは何とかしなければならない。その算段に心が乱れて、せっかく詰まりが直って再び順調に池にそそぐホースの水を心静かに眺められなくなった。ことほど左様に世の中には「知らぬが仏」知らない方が良かったのにということがいくつもありそうだ。これからは知らないでも済むことは知らずに済ませよう。何でもかんでも知りたがるのも考え物だ。
☆エンジンポンプでホースに水を注入する「知らぬが仏」を悟ったドクターと水が止まろうと誰かが直そうとそんなことは知らぬが仏で泳ぎを楽しむ金魚たち。これからは金魚が師匠だ。


